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出張時の労働時間はどこまで?移動時間・残業・休日出勤の正しい扱い方と事例紹介

2026.03.06

出張時の労働時間はどこからどこまでが対象となるのか。移動時間は?前泊・後泊は?といった疑問は、出張者側も管理者側も明確にしておきたい所です。 本記事では、厚生労働省の考え方や過去の裁判例をもとに、出張時の労働時間の正しい判断基準を解説します。また、管理者が見落としがちな規程の定め方や、複雑な出張旅程をスムーズに一元管理するノウハウまで、実務に役立つ情報を網羅しています。

ピカパカ出張DXコラム執筆者中村

この記事の執筆者

編集部 中村

旅行業界歴15年以上。自身の国内、海外出張経験を生かして記事を執筆しています。旅行業務取扱管理者資格保持者。

ピカパカ出張DXコラム監修者勝間隆人

監修者

勝間 隆人 (株式会社ピカパカ 執行役員、法人DX推進事業部 部長)

出張管理(BTM)分野で20年以上の経験を持ち、累計400社以上のコスト適正化を支援してきた専門家が監修、解説します。

出張時の労働時間はどこまで?

出張時労働時間に含まれるのは

移動時間

原則として、出張中の「移動時間」は、業務遂行の必要性がない限り、労働時間には含まれないと考えられます。ただし、移動中も会社からの指示で資料作成をしていたり、電話対応などの業務を行わなければならない場合は労働時間とみなされます。

前泊、後泊

出張で業務日の前後に宿泊する場合、それが労働時間には含まれるかどうかは「使用者の指揮命令下にあるか」で決まります。前泊・後泊時に会社の指示による業務を行わない場合、特段の業務指示がない場合は「労働時間には含まれない(プライベートな時間)」という判断が一般的です。

休日を含む出張

休日に観光をしている、ホテルで自由に休息している、友人と会っているなど、本人が自由に過ごしている時間は労働時間ではありません。休日に会社から「研修への参加」「資料の作成」「現地での会議」などの具体的な業務命令が出ており、それを行っている時間は労働時間です。

残業時間

出張先で実際に業務を行っている時間は労働時間です。もしその時間が所定労働時間を超えていれば、当然ながら時間外労働(残業)として賃金支払いの義務が発生します。

固定残業代制度(あらかじめ月給に残業代が含まれている制度)を導入している場合であっても、出張中の残業時間がその固定残業枠を超えた場合は、不足分を追加で支払う義務があります。

海外出張

海外出張であっても労働時間の考え方は国内と同じです。移動時間や待機時間が「使用者の指揮命令下にあるか」によって労働時間に含むかどうかが決まります。

労働時間の基本的な考え方

法定労働時間と時間外・休日労働

労働基準法上の労働時間は、1日8時間、週40時間を超えてはなりません。出張中であってもこの枠は適用されます。これを超えた業務命令や、法定休日における業務命令は、それぞれ時間外労働、休日労働として、適切な賃金支払と管理が求められます。

【実際の裁判例】出張時の労働時間の扱い方

➀横河電機事件

どんな事例か:韓国への出張における移動時間を「実労働時間」に含めるべきか否かが争われました。労働者側は「含めるべき」と主張し、会社側は「含めない」と主張しました。

結果どうなったか:移動時間は業務としての拘束性(会社からの指示・監督の程度)が低く、これを実労働時間と解釈するのは困難であるとされ「所定労働時間外の移動時間は就業時間として扱わない」とされました。会社側として、海外出張手当(1日2,000円)を支給し、移動時間に対する代償的な措置としました。

➁東葉産業事件

どんな事例か:従業員は日曜日に出張先から帰宅しましたが、現地で業務は行っていませんでした。しかし会社に対して休日労働を訴えました。

結果どうなったか:会社からの具体的な指揮命令がないため、労働時間には該当しないと判断されました。労働基準法における休日労働(割増賃金の支払いが必要なもの)には該当しないという結論です。

管理部必見!トラブルを防ぐ出張旅費規程の定め方

出張時の労働時間管理で最も重要なのは「会社としてどう定義するか」を規程で明確にしておくことです。裁判例で指摘される「指揮命令下にあるか否か」の基準を、以下の5つのポイントで旅費規程および就業規則に落とし込みましょう。

1. 移動時間の扱いを明記する

規程において、移動時間は原則として「労働時間ではない」と定義します。

【規程例】
「出張に伴う移動時間は、業務遂行の必要性が明確な場合や、会社から具体的な指示を受けて業務に従事している場合を除き、原則として労働時間には算入しない。」

2. 「日当」を代償措置として定義する

判例でも、移動時間が労働時間外であることの補填材料として「出張手当(日当)」の存在があります。賃金とは別の「手当」を明確にしましょう。

【規程例】
「日当は、出張に伴う移動の不便さや拘束を考慮した費用として支給する。これは労働の対価としての賃金とは別の性質のものとする。」

3. 時間外・休日労働の事前承認制を義務付ける

「出張中だから」という理由で、残業が発生しないよう、申請フローを構築します。

【規程例】
「所定労働時間を超えて出張先で業務を行う場合、または休日に業務を行う場合は、原則として事前に所属長の承認を得なければならない。」

4. 移動中の「業務指示」をルール化する

移動中の電話対応やメール対応が、労働時間に含まれるか否かで揉めるケースが多発しています。

【規程例】
「移動中の連絡対応については、会社が明示的に指示した場合を除き、原則として対応を控えるものとする。やむを得ず対応し、それが業務時間として記録される場合は報告を必須とする。」

5. 労働時間の自己申告制とチェック体制

「打刻できないから管理不能」は通用しません。出張者自身による申告と、管理側による旅程との照合を組み合わせます。

【規程例】
「出張者は、出張終了後速やかに、所定の報告様式にて実労働時間および休憩時間を自己申告すること。会社は旅程の内容と申告内容の整合性を確認するものとする。」

監修者

監修者:勝間

 

規程を作る際は、「何を業務とし、何を個人の時間とするか」を、できるだけ具体例を挙げることをお勧めします。そうすることで、従業員との認識のズレを最小限に抑えられます。

出張時の労働時間に関するよくある質問

出張の移動時間は仕事をしなくてもいい?

厚生労働省のガイドラインによれば、直行直帰や出張に伴う移動時間について、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由に行動できる時間が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。参考:厚生労働省「労働時間の考え方」

出張先での業務が早く終わり、予定より時間が短くなった場合、給与を引く必要がありますか?

いいえ、原則として減給はできません。出張のスケジュールを組み、業務を指示したのは会社側であり、業務が予定より早く終了したのは、業務の性質や状況によるものであり、従業員に事由があるわけではありません。

出張中はタイムカードで打刻できません。所定労働時間で処理していいでしょうか?

労働基準法上、会社には「労働時間を適正に把握する義務」があります。単に「打刻できないから所定時間でいい」としてしまうと、後々大きな労務トラブルに発展しかねません。たとえタイムカードが打てなくても、出張日報や勤怠報告システムにて、「始業・終業・休憩時間」を記入・申告させ確認することが必要です。

「事業場外みなし労働時間制」を導入すれば出張中の労働時間の管理は不要ですか?

「事業場外みなし労働時間制」を導入すると、確かに「毎日何時に出社して何時に退社したか」という厳密な賃金計算のための打刻・管理の手間は省略できる場合があります。しかし、会社としての「安全配慮義務」や「過重労働防止のための管理」まで免除されるわけではありません。

出張中にクライアントとの会食(接待)がある場合は労働時間ですか?

会社が会食への出席を義務付けている、あるいは業務の遂行に不可欠であると判断される場合は労働時間になります。参加が強制か自由か、接待が業務の一部かによって判断が分かれます。

出張内容を管理するなら出張管理システムがおすすめ

ピカパカ出張DX

出張時の労働時間を適正に管理・把握することはもちろん大切ですが、まずは「誰が、どこで、何をしているか」という出張内容そのものを正しく把握することも、リスク管理の第一歩です。

「ピカパカ出張DX」なら、複雑な出張旅程を一元管理できます。いつ、誰が、どこへ行くのかという旅程管理がスムーズになれば、管理部門も安心です。労働時間の把握はもちろん、出張のガバナンス強化として、ぜひ導入をご検討ください。

監修者

監修者:勝間

 

出張の労働時間管理は「現場任せ」になりがちです。だからこそ、システムを使って「旅程の可視化」を行うことが、不正防止やガバナンス強化の確実な近道となります。

まとめ

出張時の労働時間は、会社が「業務を命じている時間か」が最大の判断基準です。裁判例も踏まえ、自社の運用が適切か改めて見直しましょう。労働時間の管理とあわせて、出張管理システムによる「旅程管理の強化」もぜひセットで進めてみてください。

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